このたびの仙台市議会議員一般選挙(8月25日投開票)につきまして、誠に残念ながら、当選に至ることができませんでした。皆様からあたたかく応援・ご支援いただいたにもかかわらず、当方の力が及ばず、誠に申し訳ございませんでした。
 今回の選挙活動は、「科学教育」という単一公約のため、万人受けを狙ったキャッチコピーやイメージ等は用いず、これまでの活動実績をベースに当方が実現したい趣旨を伝える形で、不特定多数層の方に訴える選挙カーや街頭演説等の一般的な選挙活動は行わずに、これまでの活動で知り合った方を中心に、主にメールや選挙公報を用いて当方の趣旨を直にお伝えする形で選挙活動を行いました。
 その結果、当選には至らなかったものの、後援会や推薦等といった組織的な後ろ盾がない中、法定得票数を超える2,880人の方からご賛同いただけたことは涙が出るほど有り難く、大変勇気の湧く結果でした。大草よしえを応援・ご支援いただきましたすべての皆様に心より感謝申し上げます。
 また、今回の選挙を機に、これまで私どもの活動をご存じなかった方からも、「選挙広報やビラで初めて活動を知って、感銘を受けた。ぜひ応援したい」といった応援のメールやお電話等を多数いただいたことも、当初は想像していなかった大変嬉しい反応で、非常に心強く感じました。
 逆に言えば、それほど多くの方が「日本の科学教育を根本から何とか変えなければ、本当にこの先、日本は立ち行かなくなる」という強い危機感を抱いており、その現状を地方からなんとか変えることを強く望んでいることが、今回いただいた票の意味であったものと重く受け止めております。
 今回の選挙は、ひとえに私の力不足で当選は叶いませんでしたが、現状を地方から変えなければならない必要性をますます強く感じた次第です。そのためにも、今後、より多くのご視点からご意見等いただきながら、その実現までの道筋をつくっていく必要があると考えております。もしよろしければ、ぜひご意見等いただけましたら幸いです。
 まずはご報告とお礼のみにて失礼いたします。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

 大草よしえ

 私は科学教育を志して、2005年、東北大学大学院在学中に起業して以来、『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』等、科学の“結果”だけでなく“プロセス”を教育につなげる活動を、地域の大学・研究機関や企業、教育・行政等と連携しながら実践してまいりました。

【写真】学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ主催者として計画立案から運営まで大草芳江が1から手掛けている。


 わたしたち1団体からスタートした『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』も、既存の枠を超えた多様な主体からの賛同を得て、現在では出展者100団体・来場者1万人を超える全国最大級の科学イベントに成長しました(図1)。民間主導で自立運営している大型の科学イベントは全国的にも稀で、他地域からも注目を集めています。

【図1】学都「仙台・宮城」サイエンスデイの来場者・出展者・賞創設者の推移


 さらに地域資源を活用して科学の“プロセス”が教育的価値として地域に還元されることを実感できる循環システムを「科学・技術の地産地消」モデルと名付けて提唱し、これまでの活動をベースに、2013年、文部科学省所管の科学技術振興機構(JST)の採択を受けて『学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティ』(提案機関:宮城県、運営機関:特定非営利活動法人 natural science 、コーディネーター:大草芳江)を設立しました(図2)。

【図2】学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティの推進モデル

 本趣旨に賛同するコミュニティ会員数は、地域の大学・研究機関や民間企業、行政・教育機関や経済団体等で約300団体、個人で約2万人にのぼり(2019年8月現在)、本分野における地域での理解の輪は広がっています。

 また、育成した学生たちが、学生向けのIoTものづくり国際コンテスト「国際イノベーションコンテスト」の世界大会に毎年のように出場できるようになる等、研究や開発に携わる専門家の方々をはじめとする関係各位のご理解とご協力の総和で、これまで14年間の実践で実現できたことも多くあります。


 実は、私がこのような科学教育を志した理由が、私自身が理系(理学部)出身でありながらも、「科学離れ」の典型であったこと、そして主体性や創造性に強いコンプレックスを抱いていたことが、活動の最大のモチベーションになっています。知的好奇心なくして創造性は生まれません。自分自身を含めて、どうすれば人間が生まれ持っている知的好奇心を引き出し、創造性を育む社会をつくることができるのか?が私の人生のテーマです。知的好奇心がもたらす心豊かな社会の創造にむけて、民間だからこそできることがあると、ひとつひとつ実践を積み重ねてまいりました。

【写真】研究者・技術者から企業経営者、小中学校教員、小中学生や大学生まで、多様な主体からの依頼で、科学教育の重要性を講演している(約50件)。(写真提供:TEDxTohoku ※プレゼン動画をご覧になれます)


 しかしながら一方で、民間の立場でできることとできないことの限界も、活動をすればるするほど、強く感じるようになりました。それは、自らのアイディアを形にして新たな価値を創造する力(AIや機械等では置換できない人間らしさ)が今後ますます重要になる中、日本の教育の仕組み自体が、もっと根本的に変わってくれなければ、いずれ科学技術創造立国の根本が崩れ立ち行かなくなるのではないか、という強い危機感です。

 「国がおこるのも、ほろびるのも、まちが栄えるのも、衰えるのも、ことごとく人にある」(山本有三「米百俵」)。変化予測が困難な時代を前に、子どもたちが生まれ持つ知的好奇心を引き出し、創造性を育む科学教育を、家庭環境によらず、誰もが受けることができる仕組みを小中高校に創る必要があるのではないか。それを仕組みとして実現するためには、政策を立案できる議員という立場にまわり、実例を積み重ねながら実現していくしかないと痛感し、このたび立候補を決意した次第です。

 学都「仙台・宮城」には、それを実現できるだけの人的資源とネットワークがあることを私はこれまでの14年間の実践の中で確信しています。そして、そのポテンシャルを形にできるのが、今だと感じています。私は、そのポテンシャルを形にし、創造的な学都「仙台・宮城」の実現を目指します。

総合科学技術会議の大臣・有権者会合の地域開催(2010 年)において、一般の人々の立場に立った科学コミュニケーションの重要性について意見表明し、大臣や有識者議員らと意見交換を行った。(写真提供:内閣府)

PROFILE

大草 よしえ(おおくさ・よしえ)

1995年富谷町立富ケ丘小学校卒業
1998年富谷町立日吉台中学校卒業
2001年宮城県泉館山高等学校卒業
2005年東北大学理学部卒業
2005年東北大学大学院在学中に有限会社 FIELD AND NETWORK 設立、取締役に就任
ひとり新聞社「宮城の新聞」主宰、科学や教育をテーマに約500本の取材記事を執筆、中高生向けに発行
2007年知的好奇心がもたらす心豊かな社会の創造にむけて 特定非営利活動法人 natural science 設立、理事に就任
2007年東北大学大学院生命科学研究科中退
2007年科学のプロセスを子どもから大人まで五感で体験できる『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ』主催を開始。学都「仙台・宮城」サイエンス・デイの主催者として計画立案から運営まで1から担い、2017年(第11回)には来場者1万人を超える全国最大級イベントに成長。
2013年「科学・技術の地産地消」実現のため『学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティ』設立(国立研究開発法人科学技術振興機構「ネットワーク形成地域型」採択事業。提案機関:宮城県、運営機関:特定非営利活動法人 natural science )。主コーディネーターとして地域資源を教育的価値へ変換する活動を企画・立案・運営し推進、本コミュニティへの参加機関は大学・研究機関・学会等で約300団体、個人会員は約2万人に(2019年現在)。

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