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私からは第9款教育費、第7項社会教育費、第6目科学館費中、科学館展示リニューアルに要する経費 7億1500万円に関連して伺います。
私は、仙台市科学館協議会委員を2010年から2020年までの10年間務めさせていただき、その中で、この仙台市科学館に来れば、仙台・宮城の科学や技術がすべてわかるような拠点に、ぜひ科学館にはなってもらいたいという観点からずっと携わらせていただいておりました。最近は郡市長も「科学技術を生かしたまちづくり」を掲げています。
そこで前回の決算等審査特別委員会では、今後益々加速度的に進展していく科学・技術に、触れるだけでなく、さらに積み重ねていくための場をつくるための方策として、科学館を取り上げ、社会教育施設でありながら学校教育にも直結している本市科学館ならではの特徴を存分に活かし、必要な専門人材も配置しながら大学等と連携して、学都仙台の知を、教育に最大限活用していくための方策について、提案をさせていただきました。
今回の予算等審査特別委員会では、大学等との連携体制を如何に構築していくか、という観点から議論を進めて参りたいと存じますので、どうかよろしくお願いいたします。
はじめに、科学館展示リニューアルの進捗状況について伺います。本市科学館では、令和5年度から段階的に展示リニューアルを進めているものと承知しておりますが、令和5年度の展示リニューアルの取組状況、並びに次年度の更新予定内容についてお示しください。
科学館館長よりお答えいたします。令和5年度と令和6年度の2カ年でリニューアルを予定しておりまして、今年度は4階を行っております。4階は、仙台の自然と生息する動植物のジオラマや標本などの「宮城仙台自然のエリア」や、中学生の科学館学習での利用を考慮し、教科書に即した実物の標本や原理を伝える「科学の探求エリア」の改修を行っているところでございます。次年度は、10月頃から3階部分の改修を始める予定です。その内容としましては、「暮らしの科学エリア」として、主に子どもたちの科学の入口となるよう、科学を身近に好奇心を感じてもらい、科学技術の進歩と今の暮らしの関連がこれまでより体験しやすい場に改修いたします。また、仙台ならではの防災減災学習の展示といたしまして、地震の揺れや地震波を体験する装置を新たに設置するほか、大学等との連携ブースを用意し、研究機関や企業の先端技術の研究発表の場として活用することにしております。
ご答弁、ありがとうございました。令和6年度に更新予定の3階展示リニューアルのうち、大学等との連携による展示ブースの更新も進める予定ということですが、次に、大学等との連携展示ブースの進捗状況についてお示しください。
科学館長よりお答えいたします。大学等との連携ブースにつきましては、現在も展示しております、東北大学のメディカルメガバンク機構、地震・噴火予知研究観測センター、未来科学技術共同センター、及びナノテラスの紹介動画、さらには産業技術総合研究所、情報通信研究機構の展示は、一部更新したうえで継続する予定でございます。また、東北大学からは、目や緑内障に関する新しい展示を計画中で、現在、具体的な内容を検討しているところです。
ありがとうございました。ご答弁いただきましたように、仙台市科学館では、今回の展示リニューアルよりずっと以前から、大学や高専などの高等教育機関や研究機関、企業などと連携し、展示やイベントなどを行っていく連携を長きにわたり積み重ねてきたことは、承知をしております。今回の展示リニューアルでも、大学等との連携展示ブース計7件のうち、6件はこれまでの展示内容を継続し、1件は今回新規に展示を打診している状況、ということであります。
一方で、その新規に科学館での展示を打診されている東北大学医学部の拠点から、実は私どものNPOにその展示に関する相談がありました。その相談というのが、まず、大学側に求められている科学館展示の要件として、学術的・専門的な内容を小さな子どもでも理解できるようわかりやすく解説することが求められており、しかもそれを科学館展示では、イベントのように説明人員を配置することができないので、"もの"として自立して伝える必要があること、ただしパネルだけでは子どもの興味を惹かないので、できる限り体験なども伴うもので、しかも、子どもが自由に遊んでも壊れないもの、さらにボタンひとつで起動し、たとえ壊れたとしてもボタンひとつで直るもの、といったような展示要件とのことですので、研究者サイドとしては、ネタ自体はあるものの、展示要件が、研究者サイドで負える責任の領域を超える要求項目が多数あることから、それが科学館展示のハードルである、というのが一番の悩みどころ、とのことでした。
さらに、よくよくお話を伺ってみますと、東北大学と仙台市が2022年4月、トップ同士で包括連携協定を結んだという事実は、現場のご担当者もご存知のようでしたが、実は、大学全体としての具体的な方針も体制もないので、部局の担当者レベルでは何をどうしたらいいかがわからない、というのが、実は、大きな悩みとのことでありました。個々の部局の担当者レベルでのバラバラな対応では、人的リソースの面でも資金的な面でも、やれることには限りがありますし、また組織として仕事を位置づけられていないため、業務としてのプライオリティも下がらざるを得ず、このままでは結果として現場担当者としては本腰を入れられなくなってしまう、とのことでありました。そのような状態であれば、せっかく当初はあったモチベーションも下がりますし、結果的に展示のクオリティも下がってしまうことが大きく懸念されます。
本来そのような話は大学内部の話であるわけですが、医学部の現場のご担当者からは、「大草さんの方から大学の執行部の方に現状を伝えておいてくれないか」と、なぜか部外者である私の方に依頼がありました。ただ、よくよく考えみると、大学本部には広報や研究推進等、アウトリーチ専門の部署があると思いましたし、大学の部局単位ではなく大学本部として本件ご対応いただくことができれば、現場ご担当者からご相談のあった科学館展示に関する課題も解決できるのではないかと考えまして、早速、東北大学の執行部に相談に行って参りました。
相談の結果、大学の執行部サイドとしても、ちょうど大学の情報発信のためにブランチを校外に置くことを検討していたタイミングでもあったそうで、大学の本部として、科学館の展示に予算と人的リソースを割くことは十分に可能であろう、との回答を大学の執行部から得ることができました。むしろ、地域からそのようなニーズがあるのであれば、東北大学として、求められている社会貢献、地域貢献のミッションを果たす一環として位置づけることにより、新たに枠組みをつくることも可能との回答も得られた上、さらに科学館への展示ということであれば、単に東北大学のプレゼンス向上のため、のみならず、地域の教育への貢献という、大学の社会的存在意義を果たすために取り組むことも可能である、むしろ、大学として中途半端なものを出されては、逆に困る、とのことで、現状とニーズを把握したいので、ぜひ早急に打合せをしたい、と非常に積極的な回答を大学執行部側から得ることができました。
さらに、大学執行部側からは、大学として積極的に発信したいテーマ案についても、具体的なアイデアを伺うことができました。まずひとつ目はやはり次世代放射光施設「ナノテラス」について、東北大学としても積極的に発信したい、とのことであります。現状では、部局単位が個々個別に、でやれる範囲での対応になっているため、科学館には大人向けに元々作成していたナノテラスの紹介動画がそのまま転用される形で展示されており、正直、子どもにとっては、難易度の高い内容が単に上映されているという状況です。そのこと自体も大学本部は認知していなかったそうですが、これが本部が関ることによって、子ども向けの展示物として、例えばナノテラスのカットモデルの作成に加えて、放射光の原理のわかりやすい解説から、放射光がどのように役に立つのかの応用面の解説まで、新規作成も可能であろうと仰っていただきました。また、台湾の半導体ファウンドリが宮城県に進出予定の流れを受けて、「ミスター半導体」と呼ばれ、本市の名誉市民でもある西澤潤一・もと東北大学総長に関する展示も、東北大学としてぜひ発信に力を入れたいテーマのひとつ、とのことでした。こちらについても現在の科学館には西澤潤一先生のパネルが展示されているのみとなっており、それも大学本部としては知らなかったとのことですが、例えば東北大学の西澤記念資料室と連携して本物を展示するなど、さらなる充実化を図れるのではないか、と仰っていただきました。
要するに何を言いたいかといいますと、もちろんトップ同士での合意は、最初のステップとしては必要なわけですが、しかしながら、それだけでは部局の現場担当者単位では、何をどこまでどうやったらいいかがわからず、また、個々個別にバラバラの依頼となりますと、出てくるものもクオリティに差があったり、統一性もバラバラになってしまったりせざるを得ないという状況が現状ということです。そのことを東北大学の執行部サイドとしても、今回の訪問を機に改めて重大な懸念点としてご認識いただき、大学として発信する以上、統一性を持ってクオリティの最大限高いものを出していく必要があるということで、そのために必要な人的リソースと予算を大学本部として拠出可能とのことでありました。
したがいまして、以上のことから言えることとしましては、最初のステップとして、トップ同士の合意はもちろん必要ですが、その次のステップとして必要なのは、個々の現場担当者レベルでの意思疎通ではなく、そのひとつ上の、トップと現場の間の階層で、組織対組織の合意形成ができる体制が必要ではないか、ということが示唆されるわけであります。組織体組織でコミュニケーションを取り、お互いに現在の状況を適切に把握し合いながら、組織としてお互いにプレゼンスを向上していける体制を構築することができれば、「大学としても中途半端なものは出せない」と本気になって大学一丸となって取り組んでもらえますし、結果的にそれが効果的な展示へとつながり、ひいては市民や社会に対して、学都仙台の知をよりよい形で還元することにつながるものと考えます。
以上のような経緯で、東北大学の担当副学長・理事クラスは準備が整い次第、すぐにでも打合せをしたいと仰ってくださっていますので、仙台市側からも担当局に来ていただいて、早速、大学執行部サイドと具体的な協議を進めたいと思いますが、教育長、如何でしょうか。
教育局では、これまで科学館における東北大学の研究成果や、仙台発の世界的な研究者を紹介する展示のほか、サイエンススクール事業など、東北大学と連携し、学校教育、社会教育、両面において、科学技術に関する学びづくりを行ってきたところであります。今、東北大学のお話をいただきました。今後、子どもたちの科学の学びを進めるためにも、関係部署とも協議しながら大学・研究機関や、産業界も含めて、さらなる連携の方法等について検討し、取り組んで参りたいというふうに考えております。
ご答弁ありがとうございました。ぜひ連携を進めていただきたいと思います。その上で、今のところ科学館には実質、東北大学と連携した展示が大半ということもあり、まずは今回、東北大学を例にあげましたが、当然のことながら、ここ学都仙台には、東北大学の他にも、理工系学部のある大学や高専、産業技術総合研究所や理化学研究所など国立研究所の支所、学術団体も様々な分野の学会の東北支部などがありますので、他の団体にも同様の視点でもってオファーをかけるべきと考えます。
郡市長は「科学技術を生かしたまちづくり」を掲げておりますが、その実現のためには、実質的な拠点と体制の構築が必要であり、その役割は、まさに科学館が担うべきものである、と私は考えております。今回ちょうど平成2年の開館以来となる全面展示リニューアルを契機に、従来は一社会教育施設であった科学館の機能をこの際、強化し、そのような拠点へと昇華させていくべきであると考えますが、如何でしょうか。郡市長のご認識を伺います。
私の方からお答えをさせていただきます。本市には、東北大学をはじめ高等教育機関や研究機関が集積をし、将来を担う子どもたちの教育においても優れた環境が整っているものというふうに認識をしております。それらを十分に活かしながら、科学館の機能強化や、日頃の学校での学習の充実を図っていくことが重要だと考えております。ただいま、「科学館を拠点にして」とご提案をいただいたところですが、リニューアルによる展示の充実も契機といたしまして、本市と大学等との連携強化について取り組んで参りたいと存じます。
ご答弁ありがとうございました。そもそも科学・技術はこれまでも進展してきましたし、また、これからも進展していくと同時に、その成果は歴史となって積み重ねられていきます。ここ仙台の地においても、これまで様々な歴史的な発見や発明がなされ、これからもまた、生み出されていくことでしょう。私は、この仙台市の科学館に来れば、学都仙台発の科学・技術が、過去から現在まで、わかるような場所になって欲しいと、かねてより願っております。すでに科学館には、仙台から生まれた発見や発明を紹介するパネルが、一部ではありますが、展示をされておりまして、例えば、八木・宇田アンテナや、西澤潤一先生の光通信など、今回の展示リニューアルでも整理の上、「仙台が生んだ技術」として改めてパネル展示されることは承知しておりますが、これからも継続的に生まれてくる科学・技術を、科学館として定期的に更新していくための仕組みづくりが必要である、と考えております。
そこで、そのための一案ではありますが、先にあげた学都仙台の様々な大学や研究機関、学術機関等で構成する「後世に残したい仙台の科学・技術」選考委員会のようなものを立ち上げ、これは後世に残すべきという仙台発の科学・技術を、様々な分野の学術機関や学会等から定期的に推薦を受け、選考委員会で選定し、殿堂入りのような形で顕彰して褒め称え、名誉市民ならぬ、「名誉科学・技術」として認定していくようなシステムをつくるのは、如何でしょうか。そして、そこで認定された科学・技術が、科学館の歴史の展示コーナーにおいて、市民が目で見て、手で触れられるものとして展示され、仙台市民が皆知っていて説明できるという状態をつくることができれば、仙台市民の科学リテラシーの向上に資するだけでなく、ここ仙台市で研究をする、多様な研究者にとっても、そこで選ばれることが目標のひとつとなり、市民も関係者も自他ともに、ここ仙台を「科学・技術のまち」として実感することにつながっていくものと考えます。これはあくまで一案ではありますが、とはいえ、長期的な視点においては、そのような当事者の"実感"と"実態"を伴った体制づくりと機運醸成こそが、郡市長の掲げる「科学技術を生かしたまちづくり」の実現には、必要不可欠であると考えますが、最後に、郡市長のご認識を伺えますでしょうか。
いろいろご提案もいただいたところでございます。仙台発の世界に誇る発見や発明に触れて知ることのできる機関が、科学館のような身近な場所にあることは、仙台の子どもたちの学びにとって、優れた科学人材の育成にもつながるものと思っておりまして、意義あることだというふうに思います。現在、今、いろいろご議論いただきましたけれども、科学館において進めている展示リニューアル、そういう考えを踏まえた効率的な展示空間がつくられるであろうと認識しているところでございます。こうした科学館のさらなる活用や、子どもたちの学習機会の充実のためにも、大学等との連携は不可欠という風に考えております。ですので、それらが円滑かつ効果的に進められるように、取り組んで参りたいと存じます。