大草 芳江
大草 芳江
私は「知的好奇心を育み、自らのアイディアを形にする創造力の育成こそが、その人の心と未来、そして社会を豊かにする何よりの源泉になる」という信念のもと、2005年東北大学大学院在学中に起業して以来、「科学・技術の地産地消」をスローガンに、 ここ仙台・宮城の地で大学・研究所や企業等約300団体と連携しながら、18年間一貫して活動して参りました。
【写真】学都「仙台・宮城」サイエンスデイ(主催)の中心的役割を担う。
新たな価値を生み出すプロセスを子どもから大人まで体験できる一般向け科学イベント『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』を2007年から手弁当で開始。来場者40人からスタートした『学都「仙台・宮城」サイエンス・デイ』も現在は、大学や研究機関、企業等、多様な主体からの賛同を得て、出展者150団体・来場者1万人を超える全国最大級の科学イベントに成長しています(図1)。
【図1】学都「仙台・宮城」サイエンスデイの来場者・出展者・賞創設者の推移
※ 2020年は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止、2021年はオンライン開催(約1万人参加)、
2022年は定員50%未満登録制でリアル開催(約5,000人来場)、2023年は通常開催(約9,000人来場)
サイエンス・デイの活動をベースに、「科学・技術の地産地消」実現のための科学教育ネットワーク『学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティ』を構築しました(図2)。本趣旨に賛同する会員は、約300団体(地域の大学・研究機関や企業、行政・教育機関や経済団体等)、個人会員で約3万人にのぼります(2023年7月現在)。
【図2】学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティ(文部科学省所管・科学技術振興機構2013年度採択事業/提案機関:宮城県、運営機関:NPO法人 natural science、コーディネーター:大草芳江)
また、自らのアイディアを形にする基礎力と創造力を育成するために『科学・技術講座』を受益者負担で開講し、小学生から大学生までを中長期スパンで育成しています。創造力を育成した人材は、IoTの学生向け国際コンテスト「国際イノベーションコンテスト」の世界大会に、日本代表チームとして通算8回4年連続出場し、世界1位入賞(計2回)や特許取得のほか、文部科学大臣賞・総務大臣賞受賞等、合計84賞を受賞しています(2023年7月現在)。内発的モチベーションを原動力に生まれた、その柔軟で革新的なアイディアは、世界からも高く評価されています。
【写真】科学的な基礎力と創造力を養う『科学・技術講座』の開発・実施(対象:小学生縲恆蜉w生)。育成した受講生たちは各種コンテストに出場(入賞実績のべ84賞)。「国際イノベーションコンテスト」世界大会に日本代表チームとして通算8回入賞(2012~2022年)、うち世界1位入賞が2回(2015年、2017年)、2019年は大会史上最年少出場の中学1年生が世界3等に入賞。
さらに、形にしたアイディアを事業化し、この地で産業を興すロールモデルをつくるべく、東北大学発ベンチャー企業を設立(2020年)。医学部・工学部との共同研究により、その革新的なアイディアは新規性・進歩性を有することが国際調査で認められ(PCT出願完了、国内並びに国際特許に移行中)、医学的エビデンスに基づいた新たな市場の創出にむけて、産学官連携で事業化を進めています(2022年リリース)。
実は、私がこのような科学教育を志した理由が、私自身が理学部出身でありながらも、「科学離れ」の典型であったこと、そして主体性や創造力に強いコンプレックスを抱いていたことが、活動の最大のモチベーションになっています。知的好奇心なくして創造性は生まれません。自分自身を含めて、どうすれば人間が生まれ持っている知的好奇心を引き出し、創造性を育む社会をつくることができるのか?が私の人生のテーマです。知的好奇心がもたらす心豊かな社会の創造にむけて、民間だからこそできることがあると、ひとつひとつ実践を積み重ねてまいりました。
内閣府・文部科学省、研究者から企業経営者、小中学校教員、小中学生や大学生まで、多様な主体からの依頼で、自身の経験から科学教育の重要性を講演(約90件)。(写真提供:TEDxTohoku )
※ 内閣府でのプレゼン動画をご覧になれます
しかしながら一方で、民間の立場でできることとできないことの限界も、活動をすればるするほど、強く感じるようになりました。それは、自らのアイディアを形にして新たな価値を創造する力(AIや機械等では置換できない人間らしさ)が今後ますます重要になる中、日本の教育の仕組み自体が、もっと根本的に変わってくれなければ、いずれ科学技術創造立国の根本が崩れ立ち行かなくなるのではないか、という強い危機感です。
「国がおこるのも、ほろびるのも、まちが栄えるのも、衰えるのも、ことごとく人にある」(山本有三「米百俵」)。変化予測が困難な時代を前に、子どもたちが生まれ持つ知的好奇心を引き出し、創造力を育む教育を、家庭環境によらず、誰もが受けることができる仕組みを日本に創る必要があるのではないか。それを仕組みとして実現するためには、社会的なコンセンサスが必要不可欠であるがゆえ、被選挙権を行使してこの問題意識を広く訴えていくしかないと痛感し、このたび立候補を決意した次第です。
学都「仙台・宮城」には、それを実現できるだけのポテンシャルがあることを私はこれまでの18年間の実践の中で確信しています。そして、そのポテンシャルを形にできるのが、今だと感じています。大草よしえは、そのポテンシャルを形にし、学都「仙台・宮城」発の「科学・技術の地産地消」の実現を目指します。
総合科学技術会議の大臣・有権者会合の地域開催において、一般の人々の立場に立った科学コミュニケーションの重要性について意見表明し、大臣や有識者議員らと意見交換(写真提供:内閣府)
「科学・技術の地産地消」を生態系(エコシステム)に例えると、自らのアイディアを形にする創造力育成は「種」、大学や企業など知的資源との連携による共同研究・開発は「発芽」、形にしたアイディアで新たな産業を興すことは「開花」です。そして、得られた「果実」が仙台・宮城、東北を豊かにし、また次代の種を次々と生み出す土壌になります。大草よしえは、このエコシステムをこの地に根付かせる仕組みを18年間の実践をもとに提言いたします。
1995年 | 富谷町立富ケ丘小学校卒業 |
1998年 | 富谷町立日吉台中学校卒業 |
2001年 | 宮城県泉館山高等学校卒業 |
2005年 | 東北大学理学部卒業 |
2005年 | 東北大学大学院在学中に有限会社 FIELD AND NETWORK 設立、取締役に就任 ひとり新聞社「宮城の新聞」主宰、科学・教育・社会をテーマに約500本の取材記事を執筆、中高生むけに発行 |
2007年 | 知的好奇心がもたらす心豊かな社会の創造にむけて 特定非営利活動法人 natural science 設立、理事に就任 |
2007年 | 東北大学大学院生命科学研究科中退 |
2007年 | 科学のプロセスを子どもから大人まで五感で体験できる『学都「仙台・宮城」サイエンスデイ』主催を開始。学都「仙台・宮城」サイエンス・デイの主催者として計画立案から運営まで1からほぼ一人で担い、来場者1万人を超える全国最大級イベントに成長、現在も毎年開催中(第17回)。 |
2013年 | 「科学・技術の地産地消」実現のため『学都「仙台・宮城」サイエンスコミュニティ』設立(国立研究開発法人科学技術振興機構「ネットワーク形成地域型」採択事業。提案機関:宮城県、運営機関:特定非営利活動法人 natural science )。主コーディネーターとして、地域資源を教育的価値へ変換する活動を推進。参加機関は約300団体、個人会員は約3万人に(2023年現在)。 |