【令和6年第2回定例会】大草よしえ一般質問内容・市長等答弁「国内外から選ばれる都市、グローバルMICE都市(学会が開催しやすい学都仙台の実現)」(2024年6月18日)

 心豊かな社会をつくる会の大草よしえは、定例会で毎回一般質問に登壇しています。このたびの令和6年第2回定例会では、郡市長が今年度施政方針で掲げる「国内外から選ばれる都市、グローバルMICE都市」に関連して、仙台市在住の様々な分野の研究者の方々から頂戴した声をもとに質問と提案を行いました。本市の目指す「グローバルMICE都市」の実現には、誘致のみならず、研究者が自他ともに「学会が開催しやすいまち仙台」と実感できる環境整備が不可欠であり、学会開催支援メニューのパッケージ化等、ユーザー視点に立った施策と情報発信が必要という観点を指摘し、今回も市長や当局から前向きな答弁に加えて具体的なアクションもいただけました。以下に、大草よしえの一般質問の録画中継(仙台市議会HPリンク)、質問内容及び市長等の答弁(全文)を掲載いたします。

【録画中継はこちら(仙台市議会HP)】
https://sendai-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=6745

令和6年第2回定例会 6月18日 本会議(一般質問)
心豊かな社会をつくる会 大草 よしえ
「国内外から選ばれる都市、グローバルMICE都市」
(学会が開催しやすい学都仙台の実現)

 心豊かな社会をつくる会の大草よしえです。私からは、郡市長が今年度の施政方針で掲げる「国内外から選ばれる都市、グローバルMICE都市」に関連して、仙台市在住の様々な分野の研究者の方々から共通する声をいただきましたので、今回は、現場から頂戴した声をもとに質問と提案をさせていただきます。

 「学都」として知られる本市では、日々、研究者の方々が学術研究活動を行っています。研究者は大抵、複数の学会に所属しており、日本学術会議によりますと、公的に認められている学会は2021年現在で2,051団体、その会員数は、のべ約360万人にも、のぼります。会員数1万人規模の大きな学会から数百人規模の小さな学会まで、その規模は様々ですが、私が把握しているだけでも、少なくとも100以上の学会に東北支部があり、その支部長を大半は東北大学の教授が務めています。

 それぞれの学会は全国大会を各地域持ち回りで開いており、数年に一度は仙台で開催したり、あるいは、研究者が国際会議を「仙台でやろう」と招致するケースもあります。大規模な学会であれば、予算も潤沢なため、旅行代理店など、専門の事業者に運営を委託することになりますが、一方で数百人から一千人程度の小・中規模な学会の場合、予算が限られるために、招致するオーガナイザーの研究者自ら、会場探しから備品の発注、さらには懇親会の手配まで、すべて、ほぼお一人で、あるいは数人で行うケースがほとんどと聞いております。今回は、そのような小・中規模な学会でオーガナイザーを務める研究者の方々から頂戴した声を、取り上げたいと思います。

本市のMICE開催状況

Q1 その前段として、はじめに、本市で開催される学会も含めたMICEの開催状況について伺います。

 本市として、まず経済波及効果の大きい大規模なコンベンションの誘致に注力しており、一定の成果を挙げていることは、承知をしております。一方で小・中規模な学会も、参加者人数の合計は、本市が把握しているだけでも、なんと大規模なコンベンションに匹敵するボリュームがあり、さらには、本市の把握していないものまでを含めると、かなりのボリュームを占めるものと思われます。つまり、ひとつひとつは小・中規模とはいえ、これらを効率的に支援できれば、本市の目指すMICE推進に大きく寄与できるものと考えられます。

研究者からの声

 以下、実際の研究者の声です。

 ある研究者の方が、仙台で300人規模の小規模な学会を開こうと、まず会場探しから始めたそうです。本当は大学の施設を、費用の面からも、使い勝手の面からも使いたかったわけですが、平日は、授業で使えないことがわかったため、大学以外の施設を、ひたすら当たることになったそうです。

 開催規模に応じた会場の収容人数や見取り図、予算、空き状況など20施設くらい調べて、それぞれの施設に問い合せをしたので、その研究者の方は、研究室のメンバーと二人がかりで、約2週間もかけて、条件に見合う会場をくまなく探したそうです。

 また、検討段階では会場借用にかかる予算を、まずは概算で、すぐ把握したいにもかかわらず、見積りだけで3週間もかかったケースもあったそうでした。これはマイク一本、レイザーポインタ一本と、ひとつひとつ、見積りをつくらざるを得なかった結果ですが、ただ、現場としては、まずは概算でよいので、すぐに料金がわかる仕組みになってくれている方が有り難く、さらには学会で使用するような機材はそもそも開催規模に応じてほぼ共通しているものなので、例えば、開催規模に応じた学会開催パッケージ料金のような形で、一覧がある方が効率的でよいのでは、とのご意見もいただきました。

 さらに「何なら今回、自分は自力で一通り調べたけれど、学会開催支援コンシェルジュのようなサポートデスクがあって、開催条件を相談すれば、条件に合う施設をいくつかあげてくれて、自分たちは、そこだけを下見できる形になってくれていたら、非常に楽だった。他の研究者も今後、学会を招致する際に毎回、同じような問題に直面して大変になることが想定されるため、もしそんな仕組みが仙台市にあってくれたら、現場としては非常に有難い」とも仰っていました。

 また、別の研究者の方は、仙台観光国際協会の支援を得て、無事に会場は見つけられたそうですが、その後も非常に苦労した、という声もいただきました。会場にインターネット環境やプロジェクター等、学会開催に必要な環境が整っていなかったために、研究者自らインターネット配線工事の発注から行い、プロジェクターは東京の事業者に発注したために、大会前日にしか動作チェックをできず、非常にヒヤヒヤしたとのことでした。

 ただ、学会開催に必要な備品はやはり共通しているものですので、学会開催支援パッケージのような形で、会場から備品まで、何なら、バンケットやエクスカーションも含め、ワンストップで地元で一度に手配できる仕組みが、もし仙台市にあれば、研究者は皆とても喜ぶ、と仰っている方々も多くいらっしゃいました。

小・中規模な学会に対する本市のサポート状況

Q2 仙台市として、大規模な学会に対する支援は手厚い、と聞いております。そこで伺いますが、小・中規模な学会に対する本市のサポートはどのようになっていますでしょうか。

 仙台市による学会開催支援メニューのうち、助成金の制度については、研究者の間でもよく知られており、活用している研究者からは仙台市へ感謝の声が多くありました。また、仙台観光国際協会からの支援を受けたことのある研究者からは、「親身で親切な対応」と感謝の声も多く聞かれ、一定の信頼関係は築けているものとは存じます。

 一方で、「仙台コンベンション施設ガイド」の検索ページを、二人がかりで2週間もかけて探していた研究者の例に象徴されるように、そこまで強いニーズがあって一生懸命探していたにもかかわらず、学会開催を相談できるところがあるとは気づかなかった点に、現状の課題が浮き彫りになっているものと考えます。

 その研究者の方は、Webサイトには「観光」と書いてあったので、まさか、学会開催の相談ができるとは思ってもみなかった、とも仰っていましたが、確かに仙台観光国際協会のサイトには支援メニューの一覧があり、「会場さがしはお問い合わせください」とは書いてはあるものの、具体的に何をどう支援してくれるかをイメージできない状況では、自分がその対象であることにさえ気づけず、そもそも、お問い合わせをしてみようとは思いづらい状況にあったのではないかと推察されます。

 つまり、本市には学会支援に関する様々なメニュー自体は用意はされており、実際に、その相談体制もある程度は整っているのが実態とは思われますが、それらをユーザー視点で見た時は、よくわからない状況なために、最大限活かし切れておらず、勿体ない状況にあるのが、現状ではないでしょうか。さらに、うまく囲い込めていないために、発注が東京など、市外の事業者に流れてしまっている点も、地域経済の面から勿体ないと思います。

求められるユーザー視点での施策と発信

Q3 すなわち、実際に中・小の学会を招致する側、つまり、ユーザー視点に立った、効率的なパッケージ化や情報発信こそが、本市の効果的なMICE推進に資する、今、求められている施策と思われます。本市の今後の取組みの可能性について伺います。

 特に今後、本市では仙台国際センターが令和7年度から大規模な改修工事に入りますので、会場探しに関する同様のニーズや負担感が今後ますます増加することが想定されます。その負担感が、せっかくのMICE招致の機会損失につながらぬよう、その点においても早急に、ユーザ視点に立った対策と情報発信が必要と考えます。

 実は、研究者にとって学会のオーガナイザーを任されること自体は、研究者の名や大学の名が売れ、「仙台で研究をしたい」と思ってもらえる非常に重要なチャンスであるそうです。しかしながら、学会開催準備の負担が非常に大きいために、ただでさえ多忙を極める中、オーガナイザーにはなりたくない、というのが研究者の本音であり、実際にオーガナイザーになることを避けている研究者もかなり多いとも聞いております。

 そのような観点からも、仙台市がもともとせっかく用意しているMICE支援メニューを最大限活用し、オールインパッケージで学会開催を効率的にサポートできる仕組みとして再構築し、効果的にPRすることができれば、仙台に招致したい気持ちはあるけど、大変だから嫌だと思っていた研究者の方々が、積極的に仙台市に招致できるようになり、そのことが研究者の負担軽減のみならず、本市にとってMICEの潜在的需要の掘り起こしにつながることも期待できます。

 ちなみに最近では、学術界でも働き方改革や女性活躍推進の流れで、学術大会の開催日が土日祝日から平日へシフトする傾向にあるとも聞いています。そのため、今回指摘させていただいた課題の増加が今後ますます想定される一方、逆にこれら潜在的な需要をうまく取り込むことにより、本市の課題である観光の閑散期対策、交流人口の標準化にも寄与できる可能性があると考えます。

研究者が自他ともに「学会が開催しやすいまち」と実感できる仙台へ

Q4 以上のことから、今後ますます激化する都市間競争に打ち勝つためには、もちろん、トップセールスによる大規模コンベンションの誘致も非常に重要ですが、誘致のみならず、地元にいる研究者たちが、自他ともに「学会が開催しやすいまち・仙台」と実感できることなしに、自発的なMICE誘致競争力の強化、ひいては、真に持続可能な「国内外から選ばれる都市」「グローバルMICE都市」の実現にはつながらないものと考えます。このような観点について、最後に、郡市長のご所見をお伺いして、私からの一般質問とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

答弁(市長)

 只今の大草よしえ議員の質問にお答えを申し上げます。学会が開催しやすいまち、についてのご質問にお答えいたします。

 本市の交流人口の拡大を考えていく上で、学都の都市特性を活かした学会等の誘致というのは極めて重要でございまして、大規模な学会の誘致はもとより、開催件数が多い比較的規模の小さな学会についても、きめ細やかな支援をしていくことが肝要であると認識をしております。近年はオンライン会議の増加など、MICEを取り巻く環境が変化しておりますことから、主催者側のニーズをしっかりと捉えて、そのご負担を軽減できる効果的な支援を行うことで、仙台は学会が開きやすいまちであると実感していただけるように努めて参ります。

 併せまして、国際センターの大規模改修や国際センター駅北地区複合施設の整備などを契機とした青葉山エリア一体での開催環境の向上を図り、主催者の、そしてまた、参加者双方の満足度を高め、次の会議の開催に繋がるような好循環を生み出して参りたいと、このように考えます。

答弁(文化観光局長)

 私からは、学会が開催しやすい学都仙台の実現に係るご質問のうち、市長が答弁した以外のお尋ねにお答えいたします。

 まず、本市における学会を含むMICEの開催状況についてでございます。仙台観光国際協会が集計するコンベンション開催統計によりますと、令和5年の市内開催件数は646件となっております。このうち、現地参加人数が200人未満の小規模な会議は430件で、のべ参加者数は3万4千人でございます。それから、200人から1000人未満の中規模の会議は182件で、のべ参加者数は約6万8千人。1,000人を超える大規模会議は34件で、のべ参加者数は約6万3千人でございまして、中小規模な学会が占める割合は、件数で約95%、参加者数では約62%となっております。

 次に、小中規模の学会へのサポート体制と情報発信等について、でございます。本市では、仙台観光国際協会内にMICEサポートセンターを設置いたしまして、規模の大小を問わず、開催決定前から相談をお受けし、規模やニーズに合わせたきめ細やかな支援を行って参りました。また、案内冊子やWebサイトを通じた発信に加え、研究室を直接訪問させていただきながら、支援内容の説明等の情報提供を行ってきたところでございます。

 今後は、会議に必要な施設や備品の情報等をパッケージでお伝えするなど、情報提供の方法でありますとか、内容の見直しを図りまして、主催者の負担を軽減するとともに、経済波及効果が高まりますよう、努めて参りたいと考えてございます。


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